バレエの初心を忘れずに

自分がバレエを教えていくにあたって

常に原点とそこから来る基礎を忘れずにということで自分への備忘録。

引用はセリア・スパージャーの「やさしいダンスの解剖学」から。

 

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第一章 骨格

若い希望に溢れた人がバレリーナになりたいと望むときその保護者は、

イギリスがフランスかイタリアかロシアか、スウェーデンか、オーストラリアか、中国か、アフリカか、

どこかで娘にトレーニングを受けさせるか決めようとするであろう。

最終的に選ばれるところがどこであろうとも、変わらぬことがひとつある。

それは最初から最後まで、レッスンはバーのプリエで始まり、

いくつかのバーの練習が続き、

それがセンターで繰り返され、シャンジュマン・ドゥ・ピエとかそれに似た動きで締めくくられるということである。

レッスンの細かい部分は教師自身やその教師が属している学校などで変わるが、

本質はけっして変わるものではない。

レッスンを指導する言葉は国によって違っても、肉体の言葉は同じプリエ、グラン・バットマン、

バットマン・タンドュ、デベロッペなどである。

これはバレエのアルファベットで、そこから言葉がやさらに文章が作られるのである。

 

バレエを他のダンスから際立たせているものは、このアルファベットをもっていることであり、

それが200年以上もの間、動きや強さや忍耐や平衡や、機敏さやスピードといった、

他のものとは比べられない美しさを作る訓練の基本として用いられてきたのである。

 

この素晴らしいシステムの期限はなんであろうか?

これを説明するのは簡単ではない。

私達が知っていることは、他の伝統的なものと同様、

偉大な教師でいまもその名前が不滅なノヴェール、ブラジス、ヨハンセン、チェケッティといった人達によって、

何代も何代も受け継がれてきたということである。

今の教師はこういった人達の仕事を引き継いでいる。

ダンサーは、ダンサーとして最後の日まで、毎日のレッスンでバーに向かって先輩達の伝えた

基本的なテクニックの訓練を行う。

これにとって代わるものはないのである。

 

このテクニックの秘密はなんであろうか。

これらの偉大な教師達は、まず体の解剖学を学び、それからその知識をどのように使うかを決めたのであろうか。

答えはノーである。

疑いもなく彼らは、芸術家のものである天性を真っ先に使い、芸術家であったがゆえに真理に到達したのである。

幾人かの人は彼らの気付いた訓練法に対し、科学的な存在理由を彼から追及したかもしれない。

しかし大多数の人はおそらく見ることによって受けるインスピレーションに従うことに満足し、

彼らを導いていく線と形が誤りのないものであり、それに従っていれば目標としている結果に達することを

理解して喜んで従っていったものであろう。

 

それではなぜ近代の教師は解剖学の勉強を必要とするのであろうか。

それには2つの理由がある。

 

まず第一に、珍しくかつ貴重な何かが簡単に手に入った場合には、

その家庭で何かが失われている可能性があるという残念ながら否定できない事実である。

過去のある時期にはほんの一握りの人が、しかも肉体的にも完璧で天分のある子供だけが選ばれて

ほとんど私的で神聖なバレエスクールに入門し、ダンス芸術や教育技術に一生を捧げた巨匠達に教えを受けて、

授業や言葉に新しい彫刻や貴重な著作によってその秘伝を授けられていた。

これに反していまや我々は、皆が印刷物や写真や映画や公開の教室を持っている。

障壁は低くなったのである。

バレエは大勢の人の所有するものとなったのである。

ゆえに今日教師は、職業につこうとか逆に献身的にささげようといった、

二、三の選ばれた生徒を指導するのではなく、

多くの子供達を抱えた大きなクラスを指導しなければならない。

大望を抱いているバレリーナがその中にいるかもしれないが、

いっぽう体格に恵まれず舞台を踏む才能もなく、それでも一生懸命踊って、

バレエの訓練の中からたくさんの恩恵を得ようとしている多くの子供達もいる。

それらの子供達はしばしば、多めにみてやらなければならないちょっとした、

一般の人達と違う肉体的な特徴を持っていることもあり、そのためにも身体の構造を理解することが必要となる。

 

次いで、バレエの教育に第二番目の興味ある発展がある。

それはバレエを志す人の増加であり、他の部門でも同様の傾向が見られるが、

コールドバレエの人にさえ要求される非常に高い水準である。

この頃のコールドバレエはしばしば、以前ならバレリーナの領分と考えられていた

動作やステップを演ずることを要求される。

そのうえ、純粋には伝統的でもなく古典的でもない動作がモダンバレエに導入され、

以前にはバレリーナでさえこなせなかった程度のトレーニングが要求される。

これは今日よく見られる問題であり、最近の教師は若い生徒がそのような踊りをするとき、

注意深い目と適切な判断と、ある程度の解剖学的知識を必要とする。

 

バレエ教師に解剖学を教えるとき、どこから始めさらにはどの程度まで掘り下げるべきかを決めるのは簡単ではない。

解剖学は大変大きな領域であり科学的であるからである。

ダンスは芸術である。

科学者は生きている肉体についての知識を持っている。

芸術家は動く体についての知識を持っている。

動く体についてのダンサーの知識はしばしば、科学の領域で生み出される何物よりも

詳細であり深みがある。

しかしダンサーはそれを表現する言葉を知らない。

ダンサーは科学者が外側からでしか知らないものを、感覚的に、また経験的に、

自分の肉体の中にすでに知っている。

もし彼女が言葉にしようとしたら、それは失われてしまうだろう。

彼女の目や感覚が彼女の強さであり、それゆえ解剖学を学ぶことによってそれがより学問的な方法で置き換わるのでなく、

補強されるのである。

これが画家や彫刻家にとっても同じことである。

 

解剖学が多くの人に筋肉の勉強砲であると思わせているのは妙なことである。

バレエの教師にとって筋肉の勉強は、実際的にあまり重要なことではない。

その簡単な理由は、バレエはきちんとした正しい動きのテクニックをそれ自身持っているからである。

もしこれらの動きが正しく行われたなら、正しい筋肉が働くことになる。

反対に、動きが正しく行われなければ、正しくない筋肉が動きに加わってくる。

どんな筋肉がそれを行ったとしても。謝った動きは謝った動きである。

ダンサーはどの筋肉を使うかを見つけようとして踊るわけではない。

正しい努力は結果的に正しい筋肉の働きを保証する。教師の芸術派この努力を引き出すことであり、

そうすれば筋肉はそれ自体が自分で働く。

活動中の筋肉の研究はまだ半分しか分かっておらず、全部を理解するには何年もの、

細部にわたっての困難な研究が必要なのである。

それゆえ教師の本当の仕事は、もっと深い部分、実際には骨格自体が間接や

骨や身体の骨の構成といったことに掘り下げるべきである。

動いている身体を動いている骨格としてみなさい。

そうすれば、それ以上のことはほとんど必要としない。

その大部分はこの本に書かれている。

足についてだけは、さらに詳細に述べた。

なぜならば、足はより高度に使われ方をするからであり、他の世界では見られないほどに間違った使われ方をしたり、

いじめられたりするからである。

それ以外にも、動きの科学の世界に立ち入ることは、身体の骨組みを簡単に理解し、

バレエのテクニックの基礎を形作る動作に及ぼす影響を知るにとどめておく。

 

名称や学術用語はそれ自体が重要なのではない。

難しさに驚いてはいけない。

これらは単に解剖学的用語であって、この小さな本でそれを自分のものにしてさらに深く探求したいと思っても、

その次にはさらに大きな教科書で用いられている用語が理解されないで途方にくれてしまうであろう、

それゆえ、まず始めにいろいろな部分の名称を表にして、

各部分を結びつけたり離したり、また保持しているいろいろな構造の定義を覚えることによって

骨格のイラストを学んでほしい。

「軸方向の骨格」は頭部、頚部、体幹の骨からできている。

一方四肢の骨は「付属部の骨格」と名づけられる。

後者は対になっていて、主な体幹の付属器を形作る。

 

●軸方向の骨格

脊柱は重要なので、特に詳しく論ずる。

これは不規則な形の骨で、椎骨と呼ばれるものから構成されている。

7個の頚椎・・・頚部を作る

12個の胸椎・・・肋骨とともに胸郭を作る

5個の腰椎・・・腰部の前わんを形作る

5個の仙椎・・・一つに癒合して仙骨になる

4個の尾椎・・・一つに癒合して尾骨になる

 

胸骨は3つに分かれる。

柄部、体部、剣状突起

 

肋骨:

7対は後方は椎骨に接合し、前方は胸骨についている

3対は後方は椎骨に接合し、前方はそれぞれが軟骨で突き合わさっている

2対は、後方はついコツに接合し、前方はそれぞれが離れたままである

 

●付属部の骨格

これは対になっている

鎖骨

肩甲骨

上腕骨

とう骨と尺骨または前腕骨

8個の手根骨、手間接部

5個の中手骨、手掌部

14個の指骨

下方にいって寛骨、これは次のように分かれる。

腸骨

坐骨

恥骨

大腿骨

下腿

膝蓋骨

7個の足根骨

5個の中足骨

14個のし骨

 

●骨と間接の特徴

間接面:もう一方の相対する骨を受けるようになっている骨の部分

間接:間接を作るためのお互いの骨の表面

突起:骨の突出したところ

棘:骨が鋭く尖った部分

結節:ざらざらした骨の隆起部分

粗面:骨が丸く膨らんだ端の部分

靭帯:2つの骨を結び付けている索状の組織で、これによって関節ができあがる。

引き伸ばすことはできるが、適度に引き伸ばされるともとの長さに戻らない

関節包:関節を包んでいる靭帯様組織

 

●軟骨:強靭な弾力性を持った物質

(a)軟骨にはいろいろな用途があって、関節面が接触して、すべりやすくしているもの。たとえば膝。

(b)骨と骨を弾力を持って結び付けているもの。たとえば肋骨を胸骨に結合させる。

(c)骨が軟骨版で分けられている脊椎において、ショックアブソーバーとなっているもの。たとえば椎間板

 

屈曲:まげること。長さが減少する。

伸展:まっすぐ伸ばすこと。長さが増加する。

回旋:捻ること

外転:身体の中心線から遠ざかる運動

内転:身体の中心線に近づく運動

外側:身体の中心線より遠い部分

内側:体の中心線に近い部分

遠位:遠い部分

近位:近い部分